あけぼ乃 Akebono
- 和菓子
「Tatsunori Sato」は、御所まちにある「油長酒造株式会社」敷地内に建つチョコレート専門店です。シェフは都内の有名パティスリーやチョコレートの名門「銀座和光」など名だたる名店で約20年にわたり腕を磨いてきた佐藤辰則さん。「ショコラで暮らしに彩りを」をコンセプトにかかげ、ショコラティエでありながら唎酒師の資格も持つ佐藤さん自らが店頭に立ち、奥深いチョコレートの世界の楽しみ方や日本酒とのペアリングを発信しています。
歴史ある酒蔵の元古民家倉庫を改装した店内は、奈良県産の木材をふんだんに使用。大きなガラス戸が自然光を迎え入れ、開放的な雰囲気を生み出しています。設計はまちづくり事業「御所町プロジェクト」にも長く関わってきた吉村理建築設計事務所が担当。洗練された美しさの中に温かみも感じる佇まいが、長い歴史を誇る陣屋町の町並みになじみながらも、景観に新たな魅力を生み出す心地よいアクセントとなっています。
看板商品は油長酒造が醸す「風の森」を使用した日本酒ボンボンショコラ。奈良県でのみ生産される酒米露葉風(つゆはかぜ)と、酒米の帝王と呼ばれる山田錦、それぞれの個性を引き立たせるよう数種のクーベルチュールがバランスよくブレンドされています。パッケージにはお店のロゴマークと同じくデザイナーの「uca U(ユカユウ)」さんのイラストが施されるなど、味わいからビジュアルに至るまでこだわりが行き渡った、シェフのスペシャリテです。
休日返上で世界のチョコレートメーカーや農園を視察するのに留まらず、野生種のカカオを求めてジャングルに足を踏み入れるなど、自他ともに認めるチョコレートマニアの佐藤さん。チョコ尽くしの人生の中で、もう一つ長年想いを寄せ続けたものが銘酒「風の森」でした。初めて口にしたとき「こんなフルーティーな日本酒がこの世にあるんだ」と衝撃を受け、日本酒の世界に魅了されていったといいます。
あの感動を、自身の表現方法であるチョコレートの中に閉じ込めて多くの人に届けたい。自分にとっての「風の森」との出会いのように、誰かがチョコレートや日本酒の世界に引き込まれるきっかけとなるようなものづくりがしたい。そんな思いが形となって世に送り出された日本酒ボンボンショコラは、世界的なチョコレートのコンクールICA(International Chocolate Awards )でメダルを受賞するなど、国内外から高い評価を得ています。
「風の森とのコラボレーションは、僕にとって10年追いかけた夢でした。それがついに叶った上、まさかこの場所で店をすることになるなんて……なんだか今でも信じられない気持ちです」
佐藤さんから語られる風の森との物語は、想いが詰まった一粒をより味わい深いものにしてくれます。「Tatsunori Sato」で極上のショコラと日本酒を。そして、双方への愛に溢れるシェフとのコミュニケーションを、ぜひお楽しみに。