奈良県景観資産に登録されている山麓線（県道30号御所香芝線）からの景色を背に佇む、白い壁の一軒家。大きな看板に「ランチ」「手作りケーキ」「水出しコーヒー」とあるように、ここはモーニングからティータイムまで楽しめる、昔ながらの喫茶店「片銀村」です。

テーブル席とカウンター席がゆったりと配置された店内には、店主の米田さんと写真仲間たちの作品が展示されていたり、バードウォッチング用の望遠鏡が置かれていたりと、人柄を感じるものが、さり気なく散りばめられています。その中央で一際目を引くのは、自慢の水出しコーヒー専用のウォータードリッパー。約4時間かけてじっくり抽出するアイスコーヒーは、豊かな香りとしっかりとしたコクがありつつ、雑味が舌に残らないクリアな飲み口が特徴です。ホットコーヒーは新鮮な豆にこだわり、注文ごとにサイフォンで抽出。こちらも、コーヒー本来の旨味を感じつつ、すっきりとした味わいを楽しめます。

メニューには、ピラフやサンドイッチなどの軽食と多彩なドリンクの他、モーニングサービスや日替わりランチセットもあり、終日食事を取ることができます。モーニングは、絶妙な厚みと焼き加減で、さくさくふんわりとしたシンプルなトーストかエッグトーストが選べ、サラダとドリンクがセットに。日替わりランチは揚げ物中心のおかずに、お味噌汁、サラダ、自家栽培米のごはんのセットで、野菜はその時期に自宅の畑で採れたものを使用。こちらも選べるドリンク付きです。

娘のあゆみさんが手掛ける自家製ケーキは、持ち帰りも可能。ふわふわの生地でミルク感たっぷりのクリームとフルーツを包んだロールケーキ、スフレタイプのチーズケーキや生チョコのように濃厚なチョコレートケーキなど、シンプルで素材のおいしさをストレートに感じられる、コーヒーとも相性抜群のラインナップです。この他、シュークリームやスイートポテトなども人気で、取り置きの予約も受けているそうです。

ゆったりした音楽が流れる店内に広がる、挽きたてコーヒーの芳ばしい香り。新聞をめくる音、常連客と店主の間で時折交わされる会話や、窓の先に広がる穏やかな風景。その時々によって紡がれる、喫茶店ならではの心地よい空間を味わいに、ぜひ訪ねてみてください。