森に囲まれた広いお庭で、ゆったりと草を食む2頭の看板ヤギたち。朝町地区にある「Tsumugu（ツムグ）」は、この穏やかな景色を眺めながら食事やコーヒーを楽しめる、隠れ家のようなカフェです。レース工場跡地をリノベーションしたこのお店は、四季折々に移り変わる自然をひととき堪能できる、少し日常から切り離されたような空間になっています。

オーナー・麻畠淑示さんの曾祖父はレース業の創業者。祖父がそれを引き継ぎ、この場所で工場を経営していたそうです。現在カフェスペースになっている洋館は、以前麻畠さんの祖父母が住んでいた建物。英文学の教授職も務めていた祖父に連れられ、幼少期にイギリスに魅了された麻畠さんが表現する店内には、工場時代に編まれたレースや、祖父の持ち物だった海外の書籍が並び、この場所で紡がれる歴史を感じることができます。

お食事は、「私にとっての始まりのごはん」を大切にしてほしいという思いから、一日中注文可能な「オールデイモーニング」を数種類用意。地元の旬の野菜を使用した身体にやさしいメニューの中でも、特におすすめはイギリスの伝統料理であるコテージパイで、2021年のオープンから変わらない定番メニューです。

自慢のコーヒーは、奈良市にある自家焙煎スペシャルティコーヒー店「ANY B&B+COFFEE」から取り寄せる「ASAMACHI BLEND」を使用。その名の通り、地元朝町をイメージしてブレンド・焙煎されたオリジナルのコーヒー豆で、ホットでもアイスでもおいしくいただけて、カフェラテにしたときのミルクとの相性も抜群です。ココアのような甘い香りに苦味と酸味のバランスがよく、多くの人が親しみやすい味わいでありながら、オリジナリティのあるコーヒーとなっています。

提供するカップにもこだわり、幼馴染という陶芸家・松尾亮佑さんと話し合ってサイズ感や口当たりなどを調整。何度も試作を繰り返し、ようやくたどり着いたカップをTsumuguのテーマカラーであるターコイズグリーン、ブラウン、アイボリーの3色に着色しました。

2023年には、敷地内にソロ＆ペアキャンプ場「CAMP DAY BIT」とプライベートサウナ「Shangri-La」もオープン。これまで育ててきたカフェの空間と共に、訪れた人が自分自身と向き合い、自らを癒す力を養える場所にしていきたいという思いが込められています。日頃がんばる自分を少しだけお休みしたい。そんな気持ちになったときには、ぜひTsumuguを訪れてみてください。毎日を気ままに過ごすヤギのシロくんとつむぎちゃんが、あなたを呑気に迎えてくれるはずです。