高天寺 橋本院 Takamadera Hashimotoin Temple
- 寺
葛木御歳神社は、御歳神を祭神とする全国御歳神・大年神の総本社であり、平安時代に編纂された『延喜式』の神名帳にも名神大社として名を連ねる古社です。御歳神の「トシ」は稲、またはその実りを意味する古語。御歳神は稲の神、五穀豊穣をもたらす神、穀物の生長を司る神として古くから信仰されてきました。私たちが正月にお祀りしているのがこの御歳神であり、鏡餅は御歳神へのお供え物(依り代)。そのおさがりのお餅には御歳神の魂が込められており、これを「おとしだま」と呼んでいたものが今の「お年玉」の起源となります。
創祀は神代といわれ、古来より朝廷で豊作祈願のために行われた年頭の祈年祭には、まず御歳神の名が読みあげられました。古書には、大和国で御歳神社だけが、朝廷から従一位の神位を授かるほど篤く崇敬されていたという記述も。市内にある高鴨神社、鴨都波神社と同様に、古代豪族「鴨氏」が祀ったとされ、地元では「中鴨さん」として親しまれています。現在の本殿は春日大社の本殿第一殿を移築したもので、その昔、春日大社の荘園だったことに由来。「トシ」は年に一度の収穫を基準とした時の単位であることから、何か物事を始めるときにお参りするとよいとされています。
宮司の東川優子さんは、「神社は地域のコミュニケーションの場」と考え、古きを守りつつ、神事を復活させたり、奉納演奏会を行ったり、クラウドファンディングを活用して祖霊社を新設したりと、内外の人たちをつなぐ新たなチャレンジを積み重ねています。神社横の建物は人々が集える「まつり香」として貸し出し、薬膳カフェ、食品の量り売り、雑貨を扱う作家のアトリエとして賑わっています。そのお話のおもしろさはもちろん、「千年先もこの神社が残るような状況をつくりたい」と熱く語るその想いに惹かれて、多くの人が御歳神社に集い始めています。祭礼の様子などはYouTubeでも公開されているので、ぜひ覗いてみてください。
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