水平社博物館 Suiheisha Museum

水平社博物館は、自由と平等、人権の確立と部落差別撤廃を目指して1922年に創立された「全国水平社」と、その運動に身を投じた人々の闘いの歴史を伝えるために建てられた文化施設です。1998年に開館し、水平社創設から100年となった2022年にリニューアル。当時の部落差別の様相、激しい差別に立ち向かった人々の人物像や運動の広がり、水平社の綱領や歩みなどが豊富な資料と共に展示されているほか、マンガに登場する差別の本質をつくようなシーンを題材として紹介したり、「ことばの『美術館』」と題して誰かの心に残った言葉を募集して展示したりと、大人はもちろん、中高生にも受け取りやすいようにとさまざまな工夫がなされています。

全国各地の被差別部落に住む人々のあいだに瞬く間に広がった水平社運動。その人権確立の潮流は、御所の柏原で生まれ育った青年たちの行動から始まりました。「人間を尊敬することによって自ら解放せん」と叫び、「人の世に熱あれ、人間に光あれ」と発信された1922年の「水平社宣言」は、日本初かつ被差別当事者が発した世界初の人権宣言といわれ、同様に差別に苦しんでいた世界の人々に勇気を与えていくことになります。2016年、「水平社と衡平社 国境を越えた被差別民衆連帯の記録」は、アジア太平洋地域ユネスコ「世界の記憶」に登録。その資料も展示されています。

博物館館長の駒井さんは次のように話します。「差別する心は人間の本質的な負の感情かもしれません。ですが内在するそうした自身の差別性と向き合って、それぞれの違いを認め合い、人権を相互に尊重する意識を高めることで差別を克服していくことができると考えています。多様なアイデンティティが受け入れられ、みんながリラックスして生きていける、そんな成熟した暖かい世の中を共に構築していければと思います」。

水平社博物館が守り伝えている、差別に抑圧されながらも懸命に生きた人々が積み重ねた経験と知恵は、多様性が認められ始めた今の時代にこそ、多くの学びを含んでいます。過去と未来をつなぐこの博物館を、あなたなりの何かを感じに、訪れてみてください。

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連絡先

0745-62-5588