長柄神社 Nagara Jinja Shrine

長柄神社は、昭和33年に奈良県指定文化財に登録された由緒ある神社です。祭神は「下照姫命」で、葛城一言主神社や高鴨神社の姫宮と考えられていることから、 別名「姫の宮」と呼ばれています。

本殿は「一間社春日造」。表面は丹塗で、屋根はかつて檜皮葺でしたが、現在では銅板葺となっています。ひさしに描かれた「八方睨みの龍」はどこから見ても睨まれているように見え、近くで見ると目が離せなくなるような迫力です。また、本殿扉内に描かれた狛犬や花は、時の流れを感じさせない色鮮やかな姿を残していますが、こちらは年に3回の特別な神事(祈年祭、秋祭り、新穀祭)の際にだけ宮司によって扉が開かれ、見ることができるそうです。

造営年代は不明ですが、残されている17枚の棟板の中で最も古いものは正和元年(1312年)12月18日と記されていることから、室町時代まで遡ると推定されます。また、『日本書紀』天武天皇9年9月9日条に「朝嬬に幸す。因りて大山位より以下の馬を長柄杜に看す。乃馬的射させたまふ」という記述があり、この「長柄社」は現在の長柄神社の起源にあたると言われています。

境内には大きな欅の木をはじめ様々な広葉樹が植わっており、ベンチや遊具も設置されていて、地域の人々からは日々の交流の場としても親しまれてきました。氏子の皆さん曰く、「この辺りで育ったほとんどの人にとって、子どもの頃の遊び場といえば長柄神社で、木登りや鬼ごっこなどたくさんの思い出がある」とのこと。だからか、どこか厳かでありながら明るく親しみやすい雰囲気が漂っています。

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