吉祥草寺 Kisshosoji Temple

吉祥草寺は御所の北部、茅原というエリアに伽藍を構える本山修験宗の古刹。日本古来の宗教・修験道の教えを人々に伝える、修行寺です。修験道の開祖・役行者(役小角)は飛鳥時代にこの茅原で生まれ、吉祥草寺を開基。舒明天皇の発願によって寺院が創建されたと伝えられます。

役行者ゆかりの名刹として東西4km、南北5kmにおよぶ境内に49寺院を整えるほど大いに栄えますが、南北朝時代の貞和5年(1349年)、兵火でことごとく燃やされてしまいます。現在の建物はすべて再建されたもの。本堂は平成19年(2007年)に建て直されました。

本堂に祀られる本尊は、不動明王を中心とした五大尊。薬師如来立像や地蔵菩薩立像といった平安・鎌倉期の作とされる木彫像も安置されています。また、本堂の左奥にある開山堂には等身を超える木造の役行者倚像・前鬼後鬼坐像を安置。この役行者像は室町時代の作と考えられ、顎髭がなく、若き日の役小角の姿を写した珍しい姿をしています。

そんな吉祥草寺において最も有名な奉納行事が、毎年1月14日に行われる奈良県最大の「左義長(大トンド法要)」です。大宝元年(701)、凶作や流行病に悩んだ文武天皇が吉祥草寺で祈願すると物事が好転したことから、翌年の正月元旦より2週間の法要を営み、結願の日に雄雌一対の大松明を献納したとされています。以来1300年に渡り、地域の人々によって続けられているこの火祭りは、奈良県の無形文化財に指定。3000人近い来場者が見守る中、僧侶や山伏たちの般若心経が境内に響き渡り、高さ6m、直径3m、重さ700kgの大松明が燃え盛る様は、まさに圧巻です。

住職の山田鉄寛さんは、本職の修験僧。山田さんは「生きること全てが修行であると捉えると、すべての存在に感謝の気持ちが湧くようになり、人は生きやすさを獲得することができます。そういうことに気が付くお手伝いができたら」と話します。そんな修験の教えに関心がある、触れてみたいといった方は、ぜひお寺を訪ねてみてください。

Information

所在地

御所市茅原279

連絡先

0745-62-3472