高天寺 橋本院 Takamadera Hashimotoin Temple
- 寺
阿吽寺は、椿の名所として知られる巨勢寺の子院のひとつです。境内には万葉集に詠われた「巨勢山の つらつら椿 つらつらに 見つつ偲はな 巨勢の春野を」の碑が建てられていますが、この歌は飛鳥時代、時の持統天皇が巨勢寺に立ち寄った際に、坂門人足(さかとのひとたり)が詠んだとされています。
参道の坂を上がると、趣のある門の左手に本堂があり、右手には「つらつら椿」の文字通り、種類も樹齢もさまざまな椿の木が立ち並ぶ坂道が続きます。普段は隠れ寺らしい落ち着いた雰囲気ですが、2月から少しずつ咲き始める椿の花が3~4月には見ごろを迎え、万葉集のファンや花を愛でる人々で賑わいます。
このお寺には、平安時代に巨勢川(曽我川)が氾濫し、里人が窮地に陥った際、阿吽法師と名乗る人が現れて救済したという縁起が伝わっています。人々が法師を崇めて古代豪族・巨勢氏の氏寺「巨勢寺」に構えた玉椿精舎に住まわせたので、法師の名に因んで「阿吽寺」と呼ばれるようになったそうです。
貞治元年(1362年)に火災に見舞われ全焼したこともあり、長らく荒廃していましたが、昭和60年に再建。本尊の十一面観音菩薩が納められた本堂の扉は普段は閉ざされていますが、毎年4月に行われる観音祭では開扉され、直接拝観することができます。椿も見ごろの季節、面相や衣文に藤原時代の雰囲気を感じられるという秘仏の開帳に、ぜひ訪れてみてください。
0745-62-3346 (御所市観光協会)