高天寺 橋本院 Takamadera Hashimotoin Temple
- 寺
八幡神社は、金剛山東側の中腹にある伏見奥神地区の氏神神社です。創始についてははっきりとわかっていませんが、元々はこの地に30余りもの子院を構えた大寺院「菩提院」の鎮守社であったといわれており、五百家地区のお寺「船宿寺」に残る室町時代の古図上にも「鎮守八幡之宮」として記されていることから、千年以上の歴史をもつ神社であると推測されます。
鳥居をくぐり、103段ある急勾配の石段を登ると、神門の先に三間社流造の本殿が現れます。祭神は応神天皇(誉田別尊)、両脇の一間社流造の摂社にはそれぞれ天児屋根命(右殿)、天照大皇神(左殿)が祀られ、いずれも安土桃山時代の建築様式を色濃く残しています。社殿は極彩色に彩られた跡が残っており、本殿扉の内側には、金箔地に鷹が2面、花が4面鮮やかに描かれています。この絵には江戸時代の画家「池田雅辰」の銘があり、大変見応えのあるものですが、普段は公開されていません。県内には同時代に建立された建物はほとんど存在せず、意匠や細部方式の変遷を知る上でも重要な文化遺産として、平成15年には御所市の文化財に指定されました。
また、境内には3基の円墳が確認されています。本殿の北西に位置する古墳の墳頂には、弁財天の祠と並んで石室の一部が露出しており、その隙間から自然石を積み重ねた玄室奥壁を覗くことができます。この他にも、境内には過去の合祀による多数の摂社・末社や、御千度石などが見られます。
毎年2月に行われる「御田祭り」は、穀物に感謝し五穀豊穣を願う神事です。祝詞奏上、玉串奉典、湯立てなどの神事の後、氏子たちが牛と田男に扮して米作りの所作を行いますが、この時に使用される唐鋤や鍬に見立てた道具には安政の銘が記されており、160年以上前から使われていることがわかります。祭りの最後には稲に見立てた松葉をお守りとして参拝者に配り、米農家の人たちは苗代作りの際にこの松葉を水の入り口に供え、稲の健やかな成長と豊作を祈るそうです。
10月中旬の「秋祭り」の日には、地域の人たちがススキ提灯を担いで町内を練り歩く、御神輿も登場します。これらの神事の折には、式典に伴って本殿の扉が開かれ、普段は公開されていない先述の日本画を目にすることができます。地域の人々の手によって守り伝えられてきた歴史あるお祭りですが、氏子でなくても見学は自由だそうなので、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。