高天寺 橋本院 Takamadera Hashimotoin Temple

高天寺橋本院は、金剛山中腹にある高野山真言宗のお寺です。この場所は天孫降臨の地として古事記にも登場する「高天原」の伝承地と言われており、古代より霊場として人々から崇められてきました。

橋本院は、奈良時代の高僧行基が718年に創建した高天寺の塔頭寺院のひとつで、当時は奈良の興福寺に所属していました。聖武天皇発病の折に病気平癒を祈願したことから「宝有山」の山号を授かり、その後、中国唐代の鑑真和上が住職に指名されるなど、「高天千軒」と呼ばれる格式高い大寺院となりました。しかし「元弘の変」以後、高天寺の修験僧・高天行秀らが南朝を援助していたことから北朝方の焼き打ちに遭い、現在では橋本院を残すのみとなっています。

ご本尊は、左手に水瓶、右手に錫杖を持つ木造の長谷式十一面観世音菩薩立像。高さ5.4メートルと大きく、江戸時代に大修復された際の金箔がはっきり残る堂々としたお姿をされています。境内には観音堂・大師堂・護摩堂・慈恩堂などがあり、大師堂には弘法大師座像が鎮座。また、寺宝の涅槃像は大変珍しい室町時代の木彫の像で、現在は奈良国立博物館に収蔵されています。

愛情深く手入れされた「瞑想の庭」をはじめ、広々とした境内では、桜・紫陽花・蓮など四季折々の多様な茶花が人々を魅了します。葛城古道沿いにあることからハイキングで訪れる人も多く、「お寺は楽しい場所でなければいけない」という寺族の言葉通り、参拝者への心配りが感じられるお寺です。毎月21日の弘法大師の縁日には、観音堂に納められた本尊が開帳される他、絵写経の体験もできるそう。あらゆる方向に顔を向け、すべての人を救済してくれるという十一面観音像と季節を彩る花々に会いに、歴史薫る古刹を訪れてみてはいかがでしょうか。

Information

所在地

御所市高天350

連絡先

0745-66-2141